卒FIT後の自家消費移行は設定変更だけでOK?既存パワコンの活用と工事が必要な境界線
固定価格買取制度(FIT)の期間満了(卒FIT)を迎え、「売電単価が下がるなら、発電した電気を自分で使って電気代を減らしたい」と考える法人様や事業主様が増えています。
その際、多くの方が抱く疑問が「今のパワコン(オムロン KP55K2など)のままで自家消費モードに切り替えられるのか?」「高額な工事や機器の買い替えが必須なのか?」という点です。
結論から申し上げますと、基本的な自家消費への移行であれば、既存設備のままで特別な設定変更や工事は不要です。しかし、より効率的に電気を使うためには「工夫」が必要であり、目的によっては「工事が必要な境界線」も存在します。
本記事では、既存設備を最小コストで活用して自家消費へシフトする方法と、プロに相談すべきタイミングについて分かりやすく解説します。
既存設備のままで「自家消費」は可能です
パワコンが「余剰売電用」の設定であっても、発電した電気を建物内で使えば、物理的に「自家消費」が最優先されます。特別な切り替えスイッチや設定変更は原則不要です。
まず、最も重要な「電気の仕組み」について解説します。
太陽光発電システムが接続されている建物では、物理的な法則として「発電した電気は、まず建物内の電気製品(照明、空調、冷蔵庫など)で消費される」という流れが自動的に発生します。
オムロン製「KP55K2」などの一般的な余剰売電用パワーコンディショナ(パワコン)は、以下のように動作します。
- 発電量 > 使用量の場合: 余った電気が自動的に電線へ流れていく(=売電)。
- 発電量 < 使用量の場合: 足りない分だけ電力会社から電気を買う(=買電)。
つまり、パワコンの設定を「自家消費モード」等に変更しなくても、お客様が昼間に電気を使えば、その分だけ自動的に売電量が減り、自家消費が行われます。
したがって、「とりあえず今の設備のまま自家消費を始めたい」という場合、配線工事や機器の買い替えは必須ではありません。
費用0円で「自家消費率」を高める工夫
機器の交換なしで自家消費メリットを最大化するには、電気を使うタイミングを「昼間」にシフトさせることが最も効果的です。
設備そのままで自家消費へ移行する場合、重要なのは「いかに売電(余り)を減らし、発電している時間帯に電気を使うか」です。工事不要ですぐに取り組める工夫をご紹介します。
1. エコキュート・電気温水器の「昼間沸き上げ」設定
多くのエコキュートは、電気代が安い深夜電力を使ってお湯を沸かす設定になっています。これを「太陽光発電が稼働している昼間(10時~14時頃)」に沸き上げる設定に変更することで、大きな自家消費効果が得られます。
最近の機種では「ソーラーチャージモード」などが搭載されていますが、古い機種でも時計設定やタイマー設定を工夫することで、昼間の沸き上げが可能な場合があります(※機種により対応可否が異なりますので取扱説明書をご確認ください)。
2. 稼働時間のシフト(ピークシフト)
事業所や工場であれば、電力消費の大きい機器の稼働時間を調整します。
- 工場の機械稼働や電気炉の予熱を、発電ピークの昼間に合わせる。
- オフィスの空調設定温度を、発電量が多い時間帯に少し強めにする(建物を冷やしておく/暖めておく)。
- EV(電気自動車)の充電を昼間に行う。
3. HEMSや電力モニタでの「見える化」
もし既存の設備にカラーモニタやHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)がついている場合は、リアルタイムの発電量を確認し、「発電している時に使う」意識を持つだけでも効果が変わります。これらは既存設備を活用する範囲であり、追加工事は不要です。
工事や機器交換が必要になる「境界線」とは?
夜間も電気を使いたい場合(蓄電池)や、パワコンの寿命が来ている場合は、機器の導入・交換工事が必要になります。
「今のままで使える」とは言え、以下のケースでは新たな機器導入や工事が必要になります。ここがコストをかけるかどうかの「境界線」です。
| 目的・状況 | 必要な対応 | 工事の必要性 |
|---|---|---|
| 昼間の電気を夜に使いたい | 蓄電池の導入 | 必須 |
| EVへ急速充電・給電したい | V2H機器の導入 | 必須 |
| パワコンが故障・寿命(10年以上) | パワコンの交換 | 必須 |
| 売電契約を完全に無くしたい (逆潮流禁止) | RPR(逆潮流防止リレー)設置 または対応パワコンへの変更 | 必須 |
特に注意したい「パワコンの寿命」
機種名として挙げられた「KP55K2」などは、設置から10年以上経過しているケースが多いと思われます。パワコンの設計寿命は一般的に10年~15年と言われています。
「自家消費に切り替えたい」というタイミングが、ちょうど「設備の更新時期」と重なっている場合、単に古いパワコンを使い続けるよりも、自家消費機能が強化された新型パワコンや、蓄電池連携型のハイブリッドパワコンへ交換するほうが、長期的なコストメリットが出る場合があります。
まとめ:まずは「昼間に使う」ことからスタート
卒FIT後の自家消費移行において、既存のパワコン(KP55K2など)が正常に動作しているのであれば、まずは設定変更なしで「昼間に電気を使う工夫」から始めるのが最小コストの方法です。
しかし、設備が古くなっている場合や、夜間の電力消費もカバーしたい場合は、機器の入れ替えを検討する良いタイミングでもあります。
- 今の設備があと何年使えるか不安
- 蓄電池を入れた場合のシミュレーションをしてみたい
- 自社の使用状況に合わせた最適な自家消費プランを知りたい
このような疑問をお持ちの方は、ぜひ一度専門家による診断をご利用ください。当社bizソーラーエコでは、現状の設備確認から最適な移行プランの提案まで、無料でサポートいたします。