2026年FIT「最初の4年だけ24円」は本当?新制度の正体と損得の正解ルート
「24円」は住宅用の可能性大。事業用は「19円」でも自家消費が正解
「2026年から売電価格が最初の4年間だけ24円に上がる」という話を聞いて、「それなら最初は売電した方が得なのでは?」とお考えの担当者様も多いのではないでしょうか。
「24円」という数字は、主に「住宅用(10kW未満)」を対象とした新制度の条件である可能性が高いです。
工場の屋根などに設置する「事業用(10kW以上)」の場合、新制度での買取価格は「最初の5年間が19円」となる見込みです。
そして最も重要な点は、「たとえ19円(あるいは24円)で売れたとしても、今の電気代単価(25円〜30円以上)よりは安いため、自家消費した方が経済的メリットは大きい」という事実です。
この記事では、2025年10月以降(2026年度)に導入されるFIT制度の「初期投資支援スキーム」の正確な中身と、5年目以降の価格急落を見据えた「最も損をしない設備導入のタイムライン」を解説します。
1. 「最初の数年だけ高い」新FIT制度の正体

2025年10月以降の認定分から、太陽光発電の固定価格買取制度(FIT)に「初期投資支援スキーム」という新しい仕組みが導入される予定です。これは、設置初期の買取価格を高く設定して投資回収を早める代わりに、後半の価格を大幅に下げるというものです。
しかし、対象となる設備の規模によって条件が異なります。以下の表で整理しましょう。
事業用(屋根設置)と住宅用の違い
| 区分 | 対象規模 | 初期の高単価期間 | 後半の低単価期間 |
|---|---|---|---|
| 住宅用 | 10kW未満 | 1〜4年目:24.0円 | 5〜10年目:8.3円 |
| 事業用(屋根) | 10kW以上 (50kW未満など) | 1〜5年目:19.0円 | 6〜20年目:8.3円 |
※上記は2025年度下期以降の適用予定価格(調達価格等算定委員会の案に基づく)です。事業用は屋根設置の場合の優遇措置を指します。
もし貴社が検討している設備が10kW以上の業務用であれば、適用されるのは「最初の5年間19円」のコースになります。
「24円」という数字は、小規模な店舗併用住宅などを除き、一般的な業務用案件には当てはまらない可能性が高い点にご注意ください。
2. 「売電」vs「自家消費」損得シミュレーション

では、事業用の「初期19円」という価格は、自家消費をやめてまで売電に回すべきほどの高値でしょうか? 実は、現在の電気料金相場と比較すると答えは明白です。
1kWhあたりの価値を比較
- 売電する場合の価値:19.0円(FIT価格)
- 自家消費する場合の価値:約25.0円〜35.0円(買電単価)
現在の法人向け高圧電力の単価は、燃料調整費や再エネ賦課金を含めると、安くても20円台後半、契約によっては30円を超えています。低圧電力(従量電灯など)であればさらに高額です。
つまり、「19円で売る」よりも「30円の電気を買わない(自家消費する)」方が、1kWhあたり約11円も得をする計算になります。
仮に住宅用と同じ「24円」で計算したとしても、買電単価が25円以上であれば、やはり自家消費の方が有利です。制度が変わって売電価格が一時的に上がったとしても、「電気代の高騰」には追いついていないのが現実です。
3. 5年後の「8.3円」暴落に備えるタイムライン

新制度の最大の注意点は、初期期間(事業用なら5年)が終わった直後の価格暴落です。6年目から売電価格は8.3円/kWhまで下がります。このタイミングこそ、設備の運用方法を切り替える重要な分岐点となります。
推奨される導入・運用のロードマップ
最初から高額なフル装備(太陽光+蓄電池)を導入するのではなく、制度の切り替わりに合わせて設備を拡張していく「段階的投資」が、キャッシュフローの観点からもおすすめです。
【フェーズ1:導入〜5年目】自家消費+余剰売電
- 設備:太陽光パネルのみ(蓄電池なし)
- 運用:日中の稼働分は最大限自家消費し、使いきれない余剰分は「19円」で売電する。
- 狙い:初期費用を抑えつつ、高い売電単価(19円)と電気代削減効果(約30円相当)のダブルメリットで、投資回収を最速で進める。
【フェーズ2:6年目以降】完全自家消費へシフト
- 状況:売電価格が8.3円に下落。売っても二束三文になる。
- 追加設備:蓄電池やV2H(EV充電設備)の導入を検討。
- 運用:これまで19円で売れていた余剰電力を、蓄電池に貯めて夕方以降に使用したり、社用EVの充電に回したりする。
- 狙い:8.3円で売るくらいなら、貯めて使って「買電(約30円)」を削減した方が圧倒的に得になる。5年後の技術進歩による蓄電池の価格低下も期待できる。
4. まとめ:制度に惑わされず「自家消費」を軸に

2026年からの新制度は、見かけ上の売電価格が上がりますが、業務用においては「最初から自家消費を優先する」という鉄則は変わりません。
むしろ、「最初の5年間で投資の大部分を回収し、6年目以降は蓄電池を追加してエネルギー自給率を高める」という明確なロードマップが描きやすくなったと言えます。
自社の電気代単価と照らし合わせて、具体的にどのくらいのメリットが出るのか、まずはシミュレーションをしてみることをお勧めします。
また、5年後の蓄電池追加を見越した設計や、現在の屋根でどれくらい発電できるかの現地調査も無料で承っております。お気軽にご相談ください。
参考リンク
- 10kW未満の住宅用・事業用太陽光発電の屋根設置 10月から買い取り価格を大幅に引き上げ
- 【2026年】太陽光の売電価格はいくら?今後の見通しをプロが解説
- 2026年度のFIT制度
- ソーラーパートナーズ
- 経済産業省:太陽光発電、FIT依存から自立へ ―調達価格等算定委員会が示した制度転換の本質
- 太陽光発電で売電できなくなる?FIT制度終了後の対策方法を法人向けに解説!
- 太陽光発電の総合メディア|ソーラーメイトBlog
- 環境新聞|経産省調達価格算定委が意見
- 株式会社ハウスプロデュース|太陽光設置お任せ隊
- エネがえる|2026~2028年の住宅用・産業用太陽光FIT・FIP制度はどうなる?
- 経済産業省|令和7年度以降(2025年度以降)の調達価格
- 株式会社モデル・ティ|2025年10月から太陽光発電の買取価格(売電)を増額