太陽光パネルやパワコンが故障したらどうする? 修理費で損しないための「3つの守り」
「せっかく高い投資をして太陽光発電を設置したのに、数年で故障して高額な修理費がかかったら元も子もない…」
業務用太陽光発電の導入を検討する際、そんな不安を感じる担当者様は非常に多いです。屋外に置く設備ですから、台風や積雪、あるいは機械的な寿命など、リスクはゼロではありません。
しかし、ご安心ください。太陽光発電には、トラブルの原因に合わせて「誰が」「どこまで」守ってくれるのか、明確なセーフティネットが用意されています。
この記事では、万が一の故障時に会社のお金を守る「3つの保証」について、現場の裏事情も交えながら解説します。
守り①:製品そのものの不具合なら「メーカー保証」
まず基本となるのが、パネルやパワコンのメーカーが提供する保証です。
- パネル(出力保証・製品保証):通常20年〜25年
- パワコン(製品保証):通常10年〜15年
普通に使っていて「突然発電しなくなった」「出力が急激に落ちた」といった機械的な初期不良や自然故障であれば、メーカーが無償で修理・交換をしてくれます。これは家電製品と同じ感覚でOKです。
守り②:施工ミスの穴を埋める「工事保証」【重要】
ここが今回、事業者の皆様に絶対に知っておいてほしい「落とし穴」です。
実は、メーカー保証には厳しい条件があります。
それは「メーカーが定めた正しい手順で施工されていること」です。
「メーカー保証が効かない」ケースとは?
稀にですが、知識不足の業者がメーカーの基準を守らずに工事を行い、それが原因で雨漏りや機器の故障が起きることがあります。
この場合、メーカーは「施工ミスが原因なので、製品保証の対象外です」と判断します。
そこで役立つのが「工事保証」
メーカー保証が断られた時、修理費は誰が払うのか? ここで登場するのが、施工会社が加入している「工事保証」です。
- 内容:施工中の事故や、引き渡し後の施工ミス(施工瑕疵)による損害をカバーします。
- メリット:万が一、業者のミスで故障しても、この保険で修理費が賄われます。
しっかりした施工店は必ずこの保険に加入していますが、コスト削減のために未加入の業者も存在します。
契約前に「御社は工事保証(PL保険等)に入っていますか?」と必ず確認しましょう。
守り③:台風・雪などの天災は「火災保険」
メーカーも施工店も責任を負えないのが、「自然災害」です。
たとえば、
- 台風で飛来物が当たってパネルが割れた
- 雪の重みで架台が曲がった
- 落雷でパワコンが壊れた。
などがあります。
これらは「不可抗力」となるため、メーカー保証や工事保証の対象外です。
ここで活躍するのが、御社がすでに建屋にかけている「火災保険(企業総合保険など)」です。
意外と知らない活用法
多くの企業向け火災保険では、「電気的・機械的事故特約」や「風災・雪災」のオプションで、屋根上の太陽光設備も補償範囲に含まれるケースが多いです。
新たに保険に入らなくても、既存の保険に「太陽光パネルを追加」と申請するだけで済む場合もありますので、総務や経理担当者に現在の契約内容を確認してもらうことを強くおすすめします。
まとめ:トラブル別・適用される保証一覧
故障の原因によって、使うべき「盾」が異なります。
| 故障の原因 | 適用される保証 | 相談先 |
|---|---|---|
| 機械の寿命・初期不良 | メーカー保証 | 施工店経由でメーカーへ |
| 工事のミス・雨漏り | 工事保証 | 施工店 |
| 台風・積雪・落雷 | 火災保険(動産保険) | 自社の保険代理店 |
太陽光発電は「メンテナンスフリー」と言われますが、それは「何もしなくていい」という意味ではありません。「適切な保証体制を組んでおけば、突発的な出費リスクをほぼゼロにできる」という意味です。
「うちは工事保証に入っているから、施工関連のトラブルも安心ですよ」と言い切れる業者を選ぶことが、20年間の安心運用への第一歩です。
参考資料
- 消費者庁:住宅用太陽光発電システムから発生した火災事故等 (業務用も準拠)
- 一般社団法人 太陽光発電協会 (JPEA):太陽光発電システムの保守点検ガイドライン